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MAT一級建築士事務所

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技術的アドバイザー、千葉大学名誉教授、浅沼博氏


浅沼 博 (あさぬまひろし)
東京都出身、専門は材料工学、スマートマテリアル、知的材料・構造システム、減災・サステナブル学、災害治療学。 お茶の水女子大学附属中学校、開成高校、東京大学工学部卒業、同大学院工学系研究科金属工学専門課程修了・工学博士(1984年)、東京大学助手(生産技術研究所特別研究員)、千葉大学工学部助手、助教授、准教授を経て教授(2009年)、現在(2024年)は千葉大学名誉教授・災害治療学研究所特任教授・グランドフェロー(2025年3月まで)。1995年には Univ. of Wollongong(Australia)、2003年にはSapienza Univ. of Rome(Italy) のVisiting Professor。

■実績
先ずは教育および研究面について、浅沼氏は永年にわたって、材料工学分野に関連した革新領域創成と独創性涵養、高度国際教育、先進研究協働、学術・社会組織貢献等の多大な業績が有り、その概要について以下に記す。同氏は、構造材料への多機能性付与等、同分野における新上位概念創成と革新分野開拓に永年尽力し、その究極であるスマートマテリアルの先駆・起源的研究を遂行し、黎明期からの発展を先導した。その顕著な業績例として、JOM(J. of The Minerals, Metals & Materials Society)の2000年特集号Smart Materials(Millennial Materials Technologies Part I)のOverview執筆、Materials Research Society年次大会時(ボストン)のチュートリアル企画・実施、英国物理学会論文誌Smart Materials and Structures編集委員、スマートマテリアル研究の中核である米国SPIEのConference Chair就任、Keynote講演、同分野で多数の論文、解説、招待講演、特許他、著書“Metal and Ceramic Matrix Composites”(英国物理学会出版)および“Intelligent Materials”(英国化学会出版)が挙げられる。
また、それらの革新的応用のための「減災・サステナブル学」提唱、研究会設立、技術協会創設とその会長としての業績等は、災害大国日本の将来を担う注目すべき功績であり、日刊工業新聞社主催の防災産業展2021(東京ビッグサイト)ではメインステージでの特別講演も行った。同時に、上記革新領域において、独創的でレジリエントな人材育成を推進してきた。以上、同氏は多大な業績を有するが、特にスマートマテリアルとその独創的応用分野おける研究開発、人材育成に顕著な業績を有し、英国物理学会および日本機械学会からフェローの称号を授与され、また、それらが総合的に評価され、現在は日本工学アカデミーの正会員である。
以下には、幾つかの具体的な業績項目を例示する。
・文部省科学研究費特定領域研究(B)領域番号 725「複合機能化への材料協調設計」(1999~2002年)をコアメンバーとして提案、遂行。分担研究「協調システム材料設計」代表。
・“減災・サステナブル学”研究成果の社会実装のため“一般社団法人減災サステナブル技術協会”を創設。多くの賛同企業等と最先端材料・技術の防・減災分野でのサステナブルな実用化を推進。
・「持続可能な科学技術創造立国つくりの要~エンジニアリング・リベラルアーツのすすめ~」(日本工学会調査研究委員会、主査:柘植綾夫氏)に参画。
・在学中から卒業後にかけ金属物理、複合材料、粉末冶金、塑性加工等の多くを学び、独創的研究への基礎を築いた。千葉大で研究者として自立後は、強度と加工性を両立可能な画期的複合材料(界面制御複合材料と命名し、界面破壊しても修復可能で、自己修復材料のルーツ的存在)を発明。科研、JSTシーズ育成始め多くの外部資金導入。同手法で開発された材料群はJST外国特許出願制度等により特許化され、NASA、Fraunhofer、スマートマテリアル社、東大、東北大、産総研、物材機構他と研究協力、共同研究実現。その他研究も含め、原著論文他、40件以上の依頼解説、60件以上の招待講演等としても発信されている。
・学生の先端的国際教育を実践するため、学生を帯同しての海外共同研究(Univ. of Wollongong (Australia))始め、海外学生招待シンポジウム・合宿等実施。また、文部省海外研究開発動向調査およびVisiting ProfessorとしてUniv. ofWollongong(Australia)およびUniv. of Rome(Italy)で海外活動遂行。さらにNASA始め海外著名研究者が多数来学し、学生と共に研究交流活動遂行。
・その他、千葉大学の国際化や対外的発信力向上のための組織強化に尽力し、例として、自ら創成した減災・サステナブル学の活動チーム・研究会形成、革新的シンポジウム主催(学長・来賓(文科省)挨拶、防災科研理事長特別講演、千葉県・市防災担当講演、国際共同研究者特別講演(ハワイ大)、関連企業講演、研究会活動紹介、弘前大とのオンライン協働)、著名外国人招聘等々実践した。

次に、学会および社会活動等については、浅沼氏はSAMPE International、先端材料技術協会、SPIE、日米機械学会他を本拠に、顕著な成果を挙げてきた。具体例として日本機械学会では、機械材料・材料加工部門(登録者3000名以上)において部門長としてリーダーシップを発揮し、新たな多部門融合的学術分野の開拓や、優秀な若手人材の発掘、注入等、新研究会創設、国際会議主催(米国機械学会と共同、南カリフォルニア大学開催(議長)、オレゴン州立大学開催(実行委員長))等により部門の発展に尽力、貢献し、特に、スマートマテリアル関連では、アクティブマテリアルシステム研究会創設、国際シンポジウム主催、講演大会・国際会議等での各種企画、多数の著名研究者招聘・交流、新研究分野(減災・サステナブル工学)への展開等々評価され、各種受賞(業績賞、国際賞、功績賞、他)が有り、現在もフェローとして活動中である。
更に紹介すべき顕著な例としては、一般社団法人減災サステナブル技術協会創設・会長就任、知的材料・構造システム分野に関する米国主要大学調査および日米大学研究会議を主催、関連セミナーをMITで主催、日本学術振興会先端材料技術第156委員会スマートマテリアルワーキンググループ委員、新規産業創出型産業科学技術研究開発制度(大学連携型産業技術研究開発プロジェクト(大型国プロ)「知的材料・構造システム研究開発」デモンストレータ部会委員、金属材料技術研究所の研究開発課題に関する事前評価委員、イタリア宇宙局プロジェクト審査委員、産業技術総合研究所スマートストラクチャー研究センターレビューボード委員、中部航空宇宙技術センター先進材料技術研究会主査および先進材料共同研究開発調査委員会委員長等が挙げられる。

上記のように、浅沼氏は、革新的研究領域創成等の独創性、高度国際教育、先進的国際・国内共同研究、学術・社会組織等への貢献、ハイレベルのメンバーシップ、各種外部資金導入等、その功績は顕著である。また最後に、同氏は多くの最高レベルの人材(著名教授、要人始め、NASA研究者、米国航空機メーカー社長、英国エンジンメーカー戦略研究所長、国内自動車メーカー社長、他多数)と協働・交流してきたこと、著書のForward執筆者がノーベル物理学賞受賞者であること、NASAや米国工学アカデミー会員等の上級研究者昇任時のアドバイザー・推薦者を務めたこと等、常に世界最高レベルで活躍してきたことも付記しておく。

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